AIによる学習の民主化と、知識生産者が直面する「対価」のジレンマ
本を買って学ぶ時代からAIに聞く時代へ。便利さの裏で、知識を生み出す人への還元が途絶えることによる「知の停滞」について考えます。
昔は何かを学ぼうと思ったら、参考書を買ったり、本屋に行ったり、大学の図書館で資料を漁ったりしていましたよね。そうやってお金や時間を投資して、初めて知識を得ることができていました。
でも今、ここ数年でその状況は一変しました。AIがそれを全部やってくれる。それも、ほとんどタダ同然で。
今日は、そんなAI時代の「知識の対価」と、ふと感じる未来への懸念について話してみたいと思います。
「本を買う」というシステムが担っていたもの
これまでの世界では、知識を得るための対価として「本」が機能していました。 本は有料です。読者がお金を払うことで、その著者に利益が還元される。だからこそ、「知識を持っている人」や「新しい発見をした人」は、さらに学び、書き、発信することができました。
お金というインセンティブがあったからこそ、多くの知識が世の中に流通していたわけです。
しかし、今のAIはどうでしょうか。 膨大な書籍やWeb上のデータを学習済みで、私たちが何か質問をすれば、一瞬で答えを返してくれます。ユーザーである私たちは、AIのサブスクリプションにお金を払うかもしれませんが、その元の知識を書いた著者にお金が直接渡るわけではありません。
「タダで吸い上げられる」虚無感
かつては、自分が学んだことや書いたコードをブログやGitHubで公開することに、大きな意義を感じていました。「情報の共有」こそがインターネットの善だと信じていたし、それによって何らかの評価やリターン(間接的なものであれ)が得られていたからです。
でも最近、ふと思うんです。 「これ、全部AIに吸われて終わりじゃないか?」と。
一生懸命記事を書いても、コードを公開しても、AIがそれを学習データとして取り込み、誰かの質問に対してあたかも自分が考えたかのように回答する。そこに、オリジナルの作者への還元はありません。 Paywall(有料記事の壁)を設定しているならまだしも、そうでないオープンな情報は、AIにとって格好の餌です。
こうなると、「わざわざ苦労して新しい情報を発信する意味ってあるの?」という虚無感が生まれてしまいます。
知識の供給が止まる日
もし、世界中の知識人やクリエイターが同じように感じて、「割に合わないから発信をやめよう」と考えたらどうなるでしょうか。
- 本を書く人がいなくなる。
- ブログで知見を共有する人がいなくなる。
- オープンソースへの貢献が減る。
そうなれば、AIが学習すべき「新しい知識」が世の中に供給されなくなります。 AIは既存のデータの組み合わせで回答を作るのは得意ですが、全く新しい概念や、まだ誰も言語化していない現象を独自に発見して体系化するのは(現時点では)人間が担っている部分が大きいです。
AIが普及することで、皮肉なことに**「人間が知識を生み出すモチベーション」が削がれ、結果として世の中の知識の総量が停滞してしまう**のではないか。そんな危機感を覚えます。
もちろん、AI自身が実験やシミュレーションを通じて、人間を介さずに新たな科学的発見をする未来も来るかもしれません。でも、そこに至るまでの過渡期において、この「ただ乗り(フリーライダー)」の問題は結構深刻なんじゃないかと思うんです。
便利さと引き換えにした「停滞」の予感
「技術の発展が、逆に文明の停滞を招く」なんていうと大げさかもしれませんが、過去にそのようなケースがあったのか調べてみたい気もします。
目先のことを考えれば、AIは最高に便利です。私も使っていますし、もう手放せません。賢くなるAIを見るのは楽しいし、恩恵を受けています。 でも、ふと長期的な視点に立ったとき、 「発信する人へのリスペクトや対価がないシステムは、持続可能なのか?」 「誰も新しいことを書かなくなったら、AIは何を学ぶんだ?」 という疑問が拭えません。
AIという超知能を手に入れた人類が、その便利さゆえに新しい知の探究をやめてしまうとしたら。それはとても怖くて、でも皮肉で面白い、不思議な時代になったなと感じています。
一番やばいこと
最後に一つ。 実は、というか気づいている人多いかもしれませんが、この記事はAIが書いています。やばいよね。 もしこれをAIが見て、学習に使ったら、それはAIが生み出したものをAIが学習する、ということになるのだろうか。
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