マクドナルドの店員(アルバイト)
マクドナルドの店員(アルバイト)として働いていました。
こんにちは、そうまめです。 今年(2025年)の2月ごろから、大学に入る9月までの間は学校に行くという用事がなく、家に引き篭もってしまい、社会との接触が減って鬱になるのを防ぐために(笑)マクドナルドでクルー(アルバイト)を初めたのですが、内部のシステム、特にキッチンが非常に良くできていたのでご紹介させていただとこうと思います。
このページの内容は、あくまでも個人の見解、推測、経験に基づいています。キッチンの外からは見えない、いわゆる社外秘に該当する手順などについては一切公開していません。アルバイト契約するときに、そういった情報は漏らすなと言われていますから。逆に言えば、ここで公開されている内容は、インターネット上に公開されていますし、実際にあなたがお店に行ってみることができます。よければ店舗に行って自分で注文して、確認してみてくださいね。
マクドナルドクルーになろう
まずはマクドナルドクルーになるために求人を調べて連絡するところから始まりました。
マクドナルドでは、バイトのスタッフのことをクルーと言います。
マクドナルドの店舗で働いているパート・アルバイト のこと。 店舗の仲間が一丸となりゴールを目指せるよ うにと、一つの船でともに働く「乗船員」にたとえて 「クルー」と呼んでいます。 おいしい商品とニーズにあったおもてなしで、お客様 が笑顔になれるような素敵な瞬間のこと。
実際働いてみて思いましたが、乗船員という言葉はぴったりだと思います。迫り来るお客様という荒波(笑)に揉まれながら、迅速に、高品質な食事をお届けすることが目的ですから…
初めて飲食のバイトの面接をするので、専門的なことを聞かれるのでは?と思っていろいろ調べて、自分で学んでから行ったのですが、面接はお客さんがいるテーブルを普通に使って行われ、簡単なものでした。今まで私がしてきた面接は大体長く、専門的な話をする人たちばかりだったので、逆にここまで簡素なもので大丈夫か?と心配になりました。でも、その懸念はすぐになくなりました。
マクドナルドでは、どのような人でも働けるように徹底的にマニュアル化されているので、初めから「できる人」を入れなくても良いわけです。少しずつ、できる場所を増やして、いろいろなことをやらせてくれます。
逆にここで面接に落ちるっていうケースも聞きますが、それは多分適性がないとかじゃなくて、普通に人が足りているとか、時間が合わないとか、そういう理由で落とされるのかなと個人的には思いました。
いざ出勤 - ポテトパーソン
ということで、私が初めにやったのはマックフライポテトの調理でした。ポテトパーソンと呼ばれるこの役職は、一番わかりやすく、かつ一番重要なポジションだと思います。
サイドメニューだけど実質主力製品
フライドポテトって主要な原料が実質ジャガイモと衣、油くらいで済むので非常に低コスト、かつ短時間で提供できる商品だと思います。マクドナルドでは世界中でローカライズされた商品をたくさん販売していますが、ポテトだけは全世界で同じ商品として販売しており、売上的にも、ブランディング的にも、相当重要な位置付けにある製品と言っても過言ではありません。
効率化された厨房
この相当重要な製品であるマックフライポテトですが、作っている人があまり経験がない可能性もあるわけです。実際、私は勤務初日から教えてもらいながら作ることになりました。
最低限のトレーニングで誰でも高品質なポテトを短時間で作ることができるようにするために、厨房もすごくよく考えられています。
私が勤務しているマクドナルドでは右から左に流れるように各工程で使用する設備が配置されており、横に移動するだけで全工程が行えるようになっています。
まず、冷凍庫からポテトの袋を取り出し、ディスペンサーにポテトを直接入れます。ディスペンサーの中身は冷凍庫と同じですが、下から適量ポテトが出てくる構造となっています。事前に袋から取り出してディスペンサーに入れておくことで、人が袋から直接ポテトを網カゴに入れるのよりも正確な量で、早く調理を開始することができるようになっています。
そうして冷凍されたポテトを網カゴに入れたら、直接それを揚げます。フライの時間はコンピューターで管理されていて、時間になると有名な「ティロリ」サウンドがなります。この音、あまりにも有名ですが、日本全国で同じものが導入されているということなのでしょうか?フランチャイズの店舗であってもこの音が鳴るので、機器のサプライヤー自体も統一されているのかもしれません。
ポテトが揚がったら、揚がったポテトを入れておく場所にポテトを入れ、塩を振ります。入れておく場所も専用に設計されているようで、ポテトがシナシナにならないように加熱し続けることができます。塩を振る際も、専用のソルとディスペンサーを使い、適量の塩が一発でかけられるようになっています。
塩までかけたらいよいよ袋詰めです。箱をぱかっと開けて、中にポテトを入れます。スクープ(ポテトを適量かき集めるための道具)を使って、適量、ポテトを入れていきます。これは個人的にちょっと難しいと思っていて、規定量ぴったりでポテトを入れるのは難しいところがあります。ピーク時間帯とかだと、いちいち重さを測っているわけにはいかないので、体で覚えて適量取れるようになる必要があります。
ここまでの工程を大体4分くらいで終えます。
7分ルール
また、これらのポテトには時間制限が設けられており、上げ終わってから7分超えたポテトは廃棄されることとなっています。揚げ物の中でも、ポテトは賞味期限が非常に短く設定されているので、揚げすぎたりしないように気をつける必要があります。
まあ実際のところ、日本人の勿体無い精神のために、7分以上経っても提供しているケースもありますが…
時間ごとに割り当てられた生産量
この揚げすぎを防ぐために、時間ごとにポテトの生産量が割り当てられている場合もあります。忙しい時間にマクドナルドに行くとわかりますが、注文していないのに、ポテトが作り置きされていることがあります。そうすることで、注文が来てからすぐに商品をお出しすることができるわけです。後述のハンバーガーは作るまでの時間が50秒と設定されているのに対し、ポテトはストックがない場合、調理に3分かかってしまうため、先に作っておくことでこの問題を回避しているみたいです。
オーダーの処理
という感じで、ポテトパーソンがある程度できるようになると、次のトレーニングをすることになります。順々に仕事を覚えていく感じなんですね。
私はフロアもやっていましたが、基本的にはキッチンなので、ハンバーガーを作る人になるためのトレーニングをしました。ハンバーガーを作るといっても、レシピ通りに作って持っていく、といった仕事ではありません。モニターに表示された商品名を覚えて、イニシエーターと呼ばれる人がバンズ(パン)を焼いて、その後ベースとなる具材だけを載せ、アッセンブラーという人に引き継いで残りの具を乗せ、ラップで包み、手元にある穴に作った商品を落として流すのです。
Made For You
有名ですが、マクドナルドでは2004年から「Made For You」と言うシステムになっていて、POSで入った注文をモニターで確認して、商品をお作りすることになっています。この技術によってハンバーガーなど、注文によって工程が異なるような商品を作り置きせずに提供でき、廃棄を削減することができるわけです。
Mから生まれた50のハッピー | 日本マクドナルド 50年の歴史 | McDonald’s Japan おかげさまで日本マクドナルドは創立50周年を迎えることができました。お客様と共に歩んできた50年の歴史を様々な切り口でご紹 www.mcdonalds.co.jp
あちこちにモニターがある
このモニター、キッチン内にたくさんあるのですが、結構優れもので、場所によって違う情報が表示されています。ポテトを作る場所の近くには今入っている注文分のポテトの量、バーガーを作る場所のモニターにはバーガーのみの情報が、ドリンクの場所にはドリンクの情報が…と言うように、場所によって違う情報が表示されています。モニターを各所に配置し、その場所でのタスクを行うのに不要な情報を表示しないようにすることで、クルーは持ち場を離れず、すぐに何をすれば良いか確認することができます。
また、あの黒背景白文字という殺風景なUIの割に結構ちゃんとできているなと思ったのですが、オーダーが入ってからの秒数と、それに応じた色(時間かかりすぎると赤くなる)が表示されていたり、また、混雑時にオーダーが溜まった際などには、すべてのオーダーが表示されないようになっていたりします。「とにかく目の前のオーダーに集中しろ、早く出せ」という意図が見てきます。
基本的にこのモニター前で作業する人数は決まっていますが、その上で、一時的にオーダーが溜まってしまった場合などは、「デンジャーコール」という物騒な名前のコールを行います…(普通に「デンジャーです!」というだけですが)そうすると、余裕のある人が回ってきてくれる仕組みになっています。途中から作業に割り込んでも大丈夫なのか?と思うかもしれませんが、途中で来た人はモニターを確認することで今何を手伝えば良いかすぐにわかるため、直ちに作業に取り掛かれます。
このシステムはマクドナルドの運営に不可欠なものとなっており、過去にこのシステムが止まった時には、運営できず、一時営業停止となったケースもあります。全てのプロセスが完全にこのシステムに依存しています。
【お知らせ】
全国の多くの店舗で一時的に営業を停止しております。
お客様にはご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。— マクドナルド (@McDonaldsJapan) March 15, 2024
このシステム、海外のマクドナルドではどうなんだろう?と思ってこの前アメリカに行ったときに見たんですけど、完全に一緒なので、色々な国で同じ基盤が使われているんだと思います。世界中のクルーが同じソフトウェアを使っているというのは当たり前なようで、結構すごい気もします。どれくらいの割合で厨房機器を現地調達しているのか気になってきます。 たとえば日本では、フライヤーは独自のものを使っています。なぜそんな事を知っているかって?海外で「ティロリ」音がなっているマクドナルドがないからです!
こういったものをわざわざ輸入するとコストが上がりそうなので、要求する基準を満たせる厨房機器とかをどうやって現地で調達しているのか気になりますね。
多様なオーダー方法
また、モバイルオーダーや、店内のタッチパネルディスプレイによるオーダーも上記のシステムで一括で処理されるようになっています。
これ、レスポンスがびっくりするくらい早くて、オーダーを完了すると大体1~3秒以内くらいに店舗のモニターに表示されます。モバイルオーダーはブラウザ、ネイティブアプリから操作ができるので、普通にどこかのサーバーにリクエストを送っているわけですが、これをどうやって店舗に送っているのでしょうか。気になってアプリの構成などを調べましたが、一度中央に置かれたモバイルオーダー処理のサーバーを介して、店舗ごとに配置されたサーバー、にそれをながす構成で通信していそうです。
これらのオーダーに加えて、従来のカウンターからのオーダーも組み合わせているので、結構すごいなと思っています。ちなみにですが、最も詳細なカスタマイズができるのはカウンターで、ポテトの揚げたてとか、ケチャップ増しとか、モバイルオーダーや端末からのオーダーではできないカスタマイズもできるようになっています。メニューに載っていない例外処理とかはここでできるわけです。
入力→処理→出力のフロー
こうして、多様な入力方法(モバイル、キオスク、カウンター)を、1つのシステムで処理し、店員はマクドナルド工場のアクチュエーターとして働き、お客様が注文した商品が出てくるわけです。マニュアルさえしっかり作れば、人間は柔軟にかつ高速に動作する、アクチュエーターで、現状これに変わるロボットは…ないと思います。
おわりに
マクドナルドのバイト、結構興味深いところがたくさんありましたが、普通に拘束時間が多く、きつかったので、先月ごろ、退職しました。 これからアルバイト考えている人とか、世界的なファストフードがどうしてここまで大きくなれたのかとか気になる人は、数ヶ月でも良いので、ぜひやってみる事をお勧めします。マクドナルドネタは結構身内でもウケが良いです。Overcooked!というゲームがあるのですが、これに似ていると言われたので、今度やってみようと思います。総じて良い経験でした。
0人が0回拍手しました
関連記事
💼 IDEACTIVE JAPAN PROJECT学生アンバサダー
IDEACTIVE JAPAN PROJECT学生アンバサダー
Microsoft、SoftBank、Meta、VISITS、IOTビジネス共創ラボの5社が企画するビジネスコンテスト「IDEACTIVE JAPAN PROJECT」の学生アンバサダーとしてマーケティングを担当。マインクラフトを使った小学生向けのハッカソン「IDEA CREATION WORKSHOP」などの企画を開催。
🎓 Peninsula International School Australia
Peninsula International School Australia
2020年初頭から2025年初頭までPeninsula International School Australiaに通っていました。